“刺撃(しげき)” の例文
賑(にぎ)やかな通りへ来た時、迎年の支度に忙しい外界は驚異に近い新らしさを以て急に彼の眼を刺撃(しげき)した。彼の気分は漸(ようや)く変った。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大人となった人の目は、もう乾(ひ)からびて、殻が出来ている。余程(よほど)強い刺撃(しげき)を持ったものでないと、記憶に止まらない。
幼い頃の記憶 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さまざまな男からお前はほんとの妖婦(ようふ)だなどと言われて、自分の肉体はそんなにまで男に強い刺撃(しげき)を与えるものかと、次第に自覚した後熟練を積み
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
歩走(ほそう)、飛伏(ひふく)、一進一退、陣法の節を教え、克己(こっき)の精神をたたき込み、刺撃(しげき)、用剣の術まで、習わせた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心機一転(しんきいってん)ということもあるから、朗(たから)かに奮闘(ふんとう)的な気持ちになれるよう、思い切って生活を革新(かくしん)するとか、強い刺撃(しげき)を与えて心境を変化させるとか、妻自身確信(かくしん)と元気を持って助勢(じょせい)するがいい。
良人教育十四種 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あらっぽい刺撃(しげき)の強い趣味の歌とは全くその味いを異にしてるのであるから、読者の方でもこういう歌を味おうとするには、気を静め心を平かにして、最も微細な感能の働きに待たねばならない。
歌の潤い (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
愕然(がくぜん)として仮寐(うたたね)の夢から覚めた時、失われた時間を取り返さなければならないという感じが一層強く彼を刺撃(しげき)した。彼は遂に机の前を離れる事が出来なくなった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
織田信長は、その頃、自己の歩兵隊に、刀の長サ三尺、柄四尺という長柄を揃えて持たせて、敵陣へ突貫(とっかん)させて、いつも敵の一陣を縦横(じゅうおう)刺撃(しげき)して駈け崩(くず)したということである。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして猛烈な刺撃(しげき)に次ぐ刺撃を以て、泥舟の息も塞(ふさ)ぐばかりだった。
剣の四君子:04 高橋泥舟 (新字新仮名) / 吉川英治(著)