刷毛目はけめ)” の例文
白絵、刷毛目はけめ、櫛描、指描、流釉ながしぐすり天目てんもく、柿釉、飴釉、黄釉、緑釉等々々。作る品は実用品ばかりである。
日田の皿山 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
初夏の日が庭の苔に落ち、刷毛目はけめついた羽目の白壁を照すのを眺めつつ、彼らはしゃべった。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
さてこの埴輪はにわはどういふものかといひますと、ほそ刷毛目はけめせんのはひつた赤色あかいろ素燒すやきでありまして、人間にんげんぞうはたいてい二三尺にさんじやくくらゐのたかさで、男子だんしもあり婦人ふじんもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
大部分はただ緑色で、それに濃い紫の刷毛目はけめを引いた花冠は、普通の意味ではあまり美しいものではないが、しかしそのかわりにきわめて品のいい静かに落ち着いた美しさがあった。
病室の花 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
姉の襟頸えりくびから両肩へかけて、妙子はあざやかな刷毛目はけめをつけてお白粉しろいを引いていた。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
有機的な連繋を持った岩の刷毛目はけめの美しさ、それに惜しみなく降りそそぐ日光、澄み切った空の色など、海洋画家として喜田川志津子さんは、まさに前人未踏の境地を開いたばかりでなく
この意味で「仁清にんせい」の色もの、模様入の茶盌の如きは、「茶」から一歩も二歩も後退したものといってよい。茶人は「刷毛目はけめ」を愛し、そこに無量の味いを見た。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
捏鉢こねばち。陶器。模様は松。白絵刷毛目はけめ。はなはだ大きく直径一尺七寸五分、深さ五寸八分、高台の直径四寸八分。産地福岡県三池郡二川ふたかわ村。明治初年期。日本民藝美術館蔵。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
しかし変化は多くはなく種類もまた狭い。しかるに日田の皿山に至っては今も様々なものに櫛描や指描や刷毛目はけめなどの手法を用いる。北九州の古陶を知ろうとする者は、活きたこの窯に来ねばならぬ。
日田の皿山 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)