切餅きりもち)” の例文
香以はこの屏風を横奪して、交山には竹川町点心堂のあんに、銀二十五両を切餅きりもちとして添えておくった。当時二十五両包を切餅と称したからである。交山は下戸であった。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
何でも、切餅きりもちが二、三十切れと、魚の切身きりみが七、八つ、小さい紙袋が三つ四つ、それから、赤い紙を貼った三銭か五銭かの羽子板はごいたが一枚、それだけがその中から出て来た。
「四日前の晩、私が常大寺に泊つた留守に、立派な御武家が一人やつて來て——まだ宵のうちだつた樣ですが——小判で二十五兩金を、切餅きりもちに代へてくれと申すんだ相です」
銭形平次捕物控:274 贋金 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
なにふんだな、さつき身延山みのぶさんへおまゐりにた人が道に迷つて此処こゝたが、それは吉原よしはらにゐた時に出た客なんだよ、三りやうつゝんで出したがあと切餅きりもち(二十五りやうづゝみ)二へうぐらゐはある様子やうす
入れて見ると、二十五兩包みの切餅きりもちが二つゾロリと出て來たぢやありませんか
伴「すくねえが切餅きりもちをたった一ツ取って置いてくんねえ」