分水嶺ぶんすいれい)” の例文
ノールーズにはこの運河の開鑿者かいさくしゃであるリケの記念碑きねんひが、大西洋たいせいように注ぐ水と地中海ちちゅうかいに落ちる水とが分かれる分水嶺ぶんすいれいいただきてられてあった。
セーヌ右岸にあるパリーの土地の高脈は、一方の水をセーヌ川に注ぎ他方の水を大溝渠だいこうきょに注いでいる。分水嶺ぶんすいれいをなすその高脈は、きわめて不規則な線をなしている。
あゆのいいのは丹波の和知川わちがわがいちばんで、これは嵐山の保津川の上流、亀岡の分水嶺ぶんすいれいを北の方へ落ちて行く瀬の急激な流れで、姿もよく、身もしまり、香りもよい。
鮎の名所 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
満々百八十八町歩にみなぎらした水は、思えば偉大なる歴史をかくした時代の分水嶺ぶんすいれいでもあった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
琵琶湖びわこの東北の縁にほぼ平行して、南北に連なり、近江おうみ美濃みのとの国境となっている分水嶺ぶんすいれいが、伊吹山の南で、突然中断されて、そこに両側の平野の間の関門を形成している。
伊吹山の句について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
吉野川の源流に達して大和と紀井の分水嶺ぶんすいれいえ、ついには熊野うらへ出るのだと云う。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
分水嶺ぶんすいれいの峠のようなもので、片側はまったく俳句というものを知らない人々の住する国、片側はすくなくとも俳句というものが世の中にあるということを知って居る人々の住する国、という事になる。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
運命の分水嶺ぶんすいれいであった。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
今ここに敷衍ふえんすべき余地もないのであるが、要するにこれは俳諧には限らずあらゆるわが国の表現芸術に共通な指導原理であって、芸と学との間に分水嶺ぶんすいれいを画するものである。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
軍馬は老坂おいのさか分水嶺ぶんすいれいを東へさしてくだり始めた。西、中国への道へ折れたものは一兵もない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殿上に桐火桶きりびおけすだれを隔てて世俗に対したのでは俳人芭蕉は大成されなかったに相違ない。連歌と俳諧の分水嶺ぶんすいれいに立った宗祇そうぎがまた行脚あんぎゃの人であったことも意味の深い事実である。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「思えば、ここは大危機だ。正に織田勝つか、毛利勝つかの平井山は、その分水嶺ぶんすいれい
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大きな“時の分水嶺ぶんすいれい”だ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)