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分明
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はっきり
ふりがな文庫
“
分明
(
はっきり
)” の例文
私は知らないことを、
分明
(
はっきり
)
と言うだけの勇気は持っていない。またその代りに、独断で彼女を悪い女としてしまうことも忍び得ない。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お
島
(
しま
)
が
養親
(
やしないおや
)
の口から、近いうちに自分に
入婿
(
いりむこ
)
の来るよしをほのめかされた時に、彼女の
頭脳
(
あたま
)
には、まだ何等の
分明
(
はっきり
)
した考えも起って来なかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「そうとも! いずれ探れば
分明
(
はっきり
)
することだ——それより丹下、いまは一刻も早くこの場を……!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
少し距離があるうえに微暗いので
分明
(
はっきり
)
としないが、その姿は女房そっくりであった。小八はもう宿の主翁の戒めも忘れていた。彼は起ちあがって窪地の縁を廻って岩山の腰に走って往った。
立山の亡者宿
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
午頃
(
ひるごろ
)
に
頭髪
(
かみ
)
が出来ると、自分が今婚礼の式を挙げようとしていることが、一層
分明
(
はっきり
)
して来る様であったが、その相手が、十三四の頃から
昵
(
なじ
)
んで
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
どう整理してよいか、まだ、そのわけが
分明
(
はっきり
)
としないものが
醗酵
(
はっこう
)
しかけてくるのだ。だから彼女は、うっとりとしたような、不機嫌のような、押だまったままでいるのだ。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お島を
頷
(
うなず
)
かせるまでには、大分手間がとれたが、帰るとなると、お島は自分の関係が
分明
(
はっきり
)
わかって来たようなこの家を出るのに、何の未練気もなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
強い、しどい、
刺戟
(
しげき
)
のある臭気を、香を
焚
(
た
)
き、鼻の穴へ香水をつけた綿を
挿
(
さし
)
て私が世話をすると、その時だけ意識が
分明
(
はっきり
)
して、他の者には近よらせなかった。そしてお世辞がよかった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
待合
(
まちあい
)
や、料理店をはじめると、
分明
(
はっきり
)
した区別がないので、あんな風になったと思われますから、はじめるならいっそ、みんなから見張ってもらっているこんな
商業
(
しょうばい
)
の方が好いと思って
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
参考にしたいと思う種々の切抜き記事について、間違いはないかと
聞直
(
ききなお
)
したのにも
分明
(
はっきり
)
した返事は与えられなかったから、わたしは記憶を
辿
(
たど
)
って書くよりほか仕方がなくなってしまった。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
美に対する愛惜——そうした
分明
(
はっきり
)
した心持ちを知らなかった時分のことではあるが、わたしはある日、呉服橋の中島写真館で、アルバムをくってゆくうちに、一枚の写真の人物に引きつけられて
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
どうもまだノーノー、ヒヤヒヤが
分明
(
はっきり
)
しないという訳なのだった。書生たちまでが一緒に並んでその稽古をやる。父はハイカラな礼服だが、朝からの
祝酒
(
いわいざけ
)
に、私が大きらいな赤黒い色になっている。
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
さほど
分明
(
はっきり
)
と覚えていなかったかも知れない。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
分
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
“分”で始まる語句
分
分別
分限
分際
分娩
分捕
分限者
分銅
分疏
分量