出語でがた)” の例文
芝居で長唄ながうた常磐津ときわずなどの連中が舞台方に並んでいはゆる出語でがたりなる者をる事があるが、それは能の囃方や地謡の舞台に並んで居るのと同じ趣である。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「どうせお旦那だんなはおれなさいましたよ。どうしても清元きよもと出語でがたりでね、役者がこちとらと違って、両方とも好う御座いまさア」と市助も跣足はだしで夕立後の道悪みちわるを歩いて行った。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
「一度あんたの出語でがたりで、わしが大石良雄をつてみたらうやらうと思うてな。」
見たりし盆興行は団菊両優は休みにて秀調しゅうちょう染五郎そめごろう家橘かきつ栄三郎えいざぶろう松助まつすけら一座にて一番目は染五郎の『景清かげきよ中幕なかまくは福地先生新作長唄所作事しょさごと女弁慶おんなべんけい』(秀調の出物だしもの)二番目家橘栄三郎松助の「玄冶店大喜利げんやだなおおぎり」家橘栄三郎の『女鳴神おんななるかみ常磐津ときわず林中りんちゅう出語でがたりなりき。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)