出水しゅっすい)” の例文
あるときは、あめがつづいて、出水しゅっすいのために、あるときは、すさまじいあらしのために、またしんおそろしいゆきのために、その脅威きょういは一つではなかったのです。
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おかしな奴だと思って不図ふと見ると、交番所こうばんしょの前に立っていた巡査だ、巡査は笑いながら「一体いったい今何をしていたのか」と訊くから、何しろこんな、出水しゅっすい到底とうてい渡れないから
今戸狐 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
本所ほんじょも同じように所々しょしょ出水しゅっすいしたそうで、蘿月らげつはおとよの住む今戸いまと近辺きんぺんはどうであったかと、二、三日過ぎてから、所用の帰りの夕方に見舞に来て見ると、出水でみずの方は無事であった代りに
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「また出水しゅっすいするだろう、それで、床板ゆかいたをぬらすし、病気びょうきるし、作物さくもつにはよくないだろう。」
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして来たのだといいながら、ふとうしろ振返ふりかえって見ると、出水しゅっすいどころか、道もからからに乾いて、橋の上も、平時いつもと少しも変りがない、おやッ、こいつは一番やられたわいと
今戸狐 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
そして、もし大雨おおあめって、出水しゅっすいをしたら、かれらは、こそぎに、さらわれてしまう運命うんめいにありました。しかし、二ほんはしっかりと、たがいにってたすっていました。
谷間のしじゅうから (新字新仮名) / 小川未明(著)