“几(き)” の例文
けたたましい動物の叫(さけ)びと共に眼(め)を瞋(いか)らして跳(と)び込(こ)んで来た青年と、圜冠句履(えんかんこうり)緩(ゆる)く玦(けつ)を帯びて几(き)に凭(よ)った温顔の孔子との間に、問答が始まる。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
独(ひとり)コノ筆録一友人ノ許ニ託ス。因テ免ルヽコトヲ得タリ。コレヲ篋衍(きょうえん)ニ蔵ス。南郭子(なんかくし)纂ノ言ヘルアリ。今ノ几(き)ニ隠(よ)ル者ハ昔ノ几ニ隠ル者ニ非ズト。一隠几(いんき)ノ間ニシテナホ然リ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
仲達は、読みかけていた書物を几(き)に置いて、息子の顔を仰いだ。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
列伝(れつでん)第七十太史公(たいしこう)自序の最後の筆を擱(お)いたとき、司馬遷は几(き)に凭(よ)ったまま惘然(ぼうぜん)とした。深い溜息(ためいき)が腹の底から出た。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)