冊子さっし)” の例文
旧字:册子
印刷いんさつ出板しゅっぱんの手続きより一切いっさい費用ひようの事まで引受ひきうけられ、日ならずして予がのぞみのごとくなる冊子さっし数百部を調製ちょうせいせしめて予におくられたり。
石川からは、相変わらずの明星攻撃、文壇照魔鏡ぶんだんしょうまきょうという渋谷の詩人夫妻の私行をあばいた冊子さっしをわざと送り届けてよこした。中にも郁治から来たのが一番多かった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
すなわち、冊子さっしまたは巻子かんすの紙一葉の表または裏各一面におさめられる範囲の長さ、胡蝶装こちょうそうの綴じ方において表から裏につづく場合は二面におさめられる長さの記事である。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
かつてこの山のひじりが、眼にふれた千種ちぐさの薬を百首の歌にみ入れた『天台採薬歌てんだいさいやっか』という冊子さっしが中堂に所蔵されていたと聞いたことがあるので、ぜひ一覧したいものと思うていたが
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こたびはのぼりしとき、日記にきものせんとて買いし冊子さっしもまだ白紙のままなるは、独逸ドイツにて物学びせし間に、一種の「ニル・アドミラリイ」の気象をや養い得たりけん、あらず、これには別にゆえあり。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)