公私こうし)” の例文
このところさすがの忠相も公私こうし板ばさみのかたちでいささか当惑していたのだったが——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
〔譯〕公私こうしは事に在り、又情に在り。事公にして情私なるもの之有り。事私にして情公なるもの之有り。政を爲す者は、宜しく人情事理じり輕重けいぢゆうの處を權衡けんかうして、以て其のちゆうを民に用ふべし。
尋ねるうちさいはひ小川町にて其頃評判の御殿醫てんい武田長生院方たけだちやうせいゐんかたに人の入用ありときゝ口入くちいれの者に頼みて此處ここに住込ける此長生院と申は老年としばえいひことに名醫のきこえあれば大流行おほはやりにて毎日々々公私こうしの使ひ引も切らず藥取の者其外門前にいち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
〔譯〕心をれいと爲す。其の條理でうり情識じやうしきうごく、之をよくと謂ふ。欲に公私こうし有り、情識の條理に通ずるを公と爲す。條理の情識にとゞこほるを私と爲す。自ら其のつうたいとをべんずるは、即ち心のれいなり。