充満じゅうまん)” の例文
旧字:充滿
ふたりは歯ぎしりをしながら、煙におしだされて、しだいしだいにあともどりした——といっても、充満じゅうまんしている煙の底をはいながら……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
部屋のなかの大火鉢おおひばちには、炭火すみびがかっかっとおこっていて、あたりいちめん、肉のこげるようなにおいが充満じゅうまんしているのだ。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
疾翔大力、微笑みしょうして、金色こんじきの円光をもっこうべかぶれるに、その光、あまねく一座を照し、諸鳥歓喜かんぎ充満じゅうまんせり。則ち説いて曰く
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
云われる通りの蔵を見つけて開けて見ると、ほしいと思うものが、充満じゅうまんしていた。それを運んで来て、平生使っていた。
女強盗 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そして後には図の下方にあるミカン半切はんきれ図が示すように、右の毛はふくろの中いっぱいに充満じゅうまんする。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
けわしい空気が室に充満じゅうまんした。とモコウはふんぜんと、ドノバンにとびかかった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
疾翔大力微笑みしょうして、金色こんじきの円光をもっこうべかぶれるに、その光あまねく一座を照し、諸鳥歓喜かんぎ充満じゅうまんせり。則ち説いて曰く
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いま丁度ちょうど、休憩時間であるが、散歩廊下にも喫煙室にも食堂にも、「赤い苺の実」の旋律メロディを口笛や足調子で恍惚こうこつとして追っている手合が充満じゅうまんしていた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
疾翔大力微笑みしょうして、金色こんじきの円光をもっこうべかぶれるに、その光あまねく一座を照し、諸鳥歓喜かんぎ充満じゅうまんせり。則ち説いて曰く
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
空間のうす桃色の大きな波と見えたのは例の魚人ぎょじんトロ族がおびただしくこの洞窟どうくつみたいな中に充満じゅうまんし、そして彼らは僕をもっとよく見たがって、たがいにひしめきあっているのだと分った。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
X号の命令で、猛烈な毒ガスが、この階に充満じゅうまんされたのだった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)