元朝がんちょう)” の例文
そして暗く静かなそのころの堺筋さかいすじへ出て夜半と元朝がんちょうここちよく冷たい静寂の空気を味わうのであった。ところがなかなか父が起きて来ない。
あくる寛永十五年の元朝がんちょうは、敵味方とも麗かな初日を迎えた。内膳正は屠蘇とそを汲み乾すと、立ちながら、膳を踏み砕いて、必死の覚悟を示した。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
高価のものの売買も当丑年うしどし限り停止ちょうじ触出し置きたれば、残りたる物は年内最早三日に相成り、形を替えるか、崩すとも仕舞切しまいきりにいたすとも、きた寅年とらどし元朝がんちょうよりは急度きっと停止申渡す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
七時起床きしょう。戸を開けば、霜如雪しもゆきのごとし。裏の井戸側いどばたに行って、素裸すっぱだかになり、釣瓶つるべで三ばい頭から水を浴びる。不精者ぶしょうものくせで、毎日の冷水浴をせぬかわり、一年分を元朝がんちょうまそうと謂うのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
元朝がんちょうやにこめく老のたて鏡 松葉
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
元朝がんちょうの氷すてたり手水鉢ちょうずばち
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
元朝がんちょうにはくべき物や藁草履わらぞうり 風国
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
元朝がんちょうや座右の銘は母の言
七百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)