傾聴けいちょう)” の例文
旧字:傾聽
人びとが絶望ぜつぼうのさけび声を立てるのを聞きながら、「先生」は平気な、しかしみんなを傾聴けいちょうさせずにおかないような声で言った。
例えば彼の女性観を聞くと自分自身が女性でありながらち一ち傾聴けいちょうせずには居られないくらいに深刻に女性を解剖かいぼうしています。
新時代女性問答 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
何かと思えば、冬季の陣中、食物に困ったとき、かぶと鉢金はちがねなべとして、猪肉ししや山鳥をっては食ったという話などに、ひどく傾聴けいちょうしているのだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
須永先生は短い口髯を指尖ゆびさきでもみながら静かに傾聴けいちょうされましたが、私の言葉が終ると、低い声で軽々かろがろと笑って
三角形の恐怖 (新字新仮名) / 海野十三(著)
芸術の使徒しととしての一俳優といった感じになり、真面目に、彼の意見を傾聴けいちょうするのであった。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
かれは、先生のまじめなお話などいささかもわからないので、どんなに、クラス全体が一生けんめいに先生の話に傾聴けいちょうしているときでも「あっ、くさっ、あっ、あっ」といいだす。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
私は今でも自炊じすいしている。三度三度自己満足できない食事では、すますことができないからだ。美食の一生を望んでいる。傾聴けいちょうすべき食物話が乏しくなったことは晩年の私をさびしがらせる。
味覚馬鹿 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
わたしの演説えんぜつはじめの部分だけはかれも殊勝しゅしょうらしくたいへん興味きょうみを持って傾聴けいちょうしていたが、二十とことばを言わないうちに、かれは一本の木の上にとび上がって
家臣はみな傾聴けいちょうしていた。そこで康政がふたたび
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)