傲語がうご)” の例文
先生はあの小さい机に原稿のペンを動かしながら、床板ゆかいたを洩れる風の為に悩まされたと云ふことである。しかし先生は傲語がうごしてゐた。
漱石山房の冬 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
府庫ふこうちには蜀江しよくこうにしき呉均ごきんあや氷羅ひようら罽氈せん雪穀せつこく越絹ゑつけんあげかぞふべからず。わう、こゝにおい傲語がうごしていはく、われうらむらくは石崇せきそうざることを、石崇せきそうまたしからんと。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「私はお前さんの力ぐらゐには驚かんね! どうでも勝手に、もつとしつかりやつて見るがいい!」と、その藤蔓は小面憎こづらにくくも彼を揶揄やゆしたり、傲語がうごしたりするのであつた。
芭蕉のみづから「俳諧の益は俗語を正すなり」と傲語がうごしたのも当然のことと云はなければならぬ。「正す」とは文法の教師のやうに語格や仮名遣ひを正すのではない。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)