もり)” の例文
もりの役、いたしました私、今、その和子様が、御得度あそばしますのを、なんで、このままよそにながめて、俗界にもどられましょう。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近所同志の家庭で小さな子供たちのお相手をつとめるおもり役だったが、もうずっと前からザフレービニンのところでは家の者も同然の扱いを受けて
で三度に一度は頑固がんこな私もつい連れ出される事があります。監督者と云いますか、何と云いますか、まず案内者あるいはおもりとでも云う格なんでしょう。
中味と形式 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
政宗の毒味番が毒にあたって苦悶くもん即死したから事あらわれて、政宗は無事であったが、其為に政宗は手ずから小次郎季氏をり、小次郎のもり小原縫殿助おばらぬいのすけちゅう
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
幕府からは向山隼人正むこうやまはやとのしょうが正使として、田辺外国奉行支配組頭がこれに添い、別に徳川民部大輔とくがわみんぶたいふ山高石見守やまたかいわみのかみをおもりとして、仏蘭西フランスの万国博覧会を視察に出かけるような世の中になりました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
小児こどもたち、幼稚おさないのは、もり、乳母など、一群ひとむれに、今日は別荘に残った次第。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お若いし、お兄上様よりは、きついご気質なので、重助も、おもりに、手を焼きまする」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平家の公達きんだちのうちには、戦を怖がって、出陣の途中から、逃げてしまうような柔弱者が、かなり多いのではございますが、まったく、私のおもりのいたし方にも、多大な過ちがありました
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御身は、太子をもりして、留守しておれ」と、孔明は成都に残した。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)