信頼しんらい)” の例文
いちずな信頼しんらいをみせて今日新らしい門をくぐってきた十人の一年生の顔が、一本松の下に集まったことのある十二人の子どもの姿にかわった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
夫人にとってのヘルンは、最も信頼しんらいする良人であったと共に、一面ではまた『大きな駄々だだ坊や』でもあった。
それはいいとして、この山勘口上やまかんこうじょうで第一におもしろいことは、この興行こうぎょうに決まった入場料にゅうじょうりょうのなかったことであった。われわれは見物の義侠心ぎきょうしん信頼しんらいする。
そして、「オヤユビくんは、わたしたちの仲間なかまと同じように信頼しんらいできると思いますがね。」と、言いました。
全詩ぜんしは忘れたが、右の句と、「此処ここ田舎の村にては、神を信頼しんらいの一念今も尚存し」と云う句と、結句の「此れぞ田舎の信心なる、此れに越すものあらめやも」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
青木さん夫婦ふうふはこのごろにないりのある、明るい氕持きもちで、希望きばう信頼しんらい笑顏えがほたがひにぢつと見交みかはし合つた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
いや、いつになったら、人間はおたがいに信頼しんらいのできる共同生活をいとなむことができるようになるんだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
宰予などの巧さとは、まるで違う。宰予の弁のごときは、巧さが目に立ち過ぎる故、聴者に楽しみは与え得ても、信頼しんらいは与え得ない。それだけにかえって安全といえる。夫子のは全く違う。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「君が来てくれてから、前任者の時代よりも成績せいせきがよくあがって、校長も大いにいい人を得たと喜んでいるので——どうか学校でも信頼しんらいしているのだから、そのつもりで勉強していただきたい」
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そうだ、これは富士男君の緻密ちみつ頭脳ずのうと、勇気に信頼しんらいしたほうがいい」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
かれは前足を右の耳の所へ上げて、軍隊ぐんたい風の敬礼けいれいをして、それをむねいて、あたかもわたしたちはかれの誠実せいじつ信頼しんらいすることができるというようであった。
相続者はその追善ついぜんのために、だれか信頼しんらいのできる人で、精神的な事業に利用したいという人があったら、土地だけでなく、相当の建築費をそえて寄付したいという意向をもらしていた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
アッカがまだニールスを信頼しんらいしきっていないなんて、まったくひどい話ではありませんか。ニールスが人間にもどるのをやめたのも、ガンのむれといっしょにたびをして歩きたいからではありませんか。
このことから、ヤッローはセーサルを、とても信頼しんらいするようになりました。そんなわけで、二どめにあるいたときには、ヤッローはじぶんから、セーサルのところへいって、そのそばにすわりました。