何処どっか)” の例文
旧字:何處
皆様みなさんお早う御座います」と挨拶するや、昨日きのうまで戸外そとに並べてあった炭俵が一個ひとつ見えないので「オヤ炭は何処どっかへ片附けたのですか」
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
重「へえ、あの野郎……あの野郎、誠に申訳もうしわけもございません、何んと何うも飛んだ事になりましてございます……重三郎の死骸は何処どっかへ上りましたか」
日は短し、暗さは暗し、いつ暮れるともなく燈火あかりつけるようになりましたのです。爺さんも何処どっかへ行って飲んで来たものと見え、部屋へ入って寝込んで了いました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「𤢖の畜生ちきしょうめ。何をやアがるんだ。早く何処どっかへ行ってしまえ。」と、お葉は勝誇かちほこって叫んだ。思いも寄らぬ救援すくいの手を得た冬子は、まりのように転がってお葉の背後うしろに隠れた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お前にお世話に成って是なりに別れるのも甚だ何うもわしの気が済まんから何処どっかへ往って一杯遣ろう、エ、一寸ちょいと一ぱい
「大丈夫、𤢖は何処どっかへ行ってしまってよ。」と、今度はお葉の声であった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
小「だからへんてこらいな舁夫だと云うのです、お嬢さん何処どっかへ連れてきアしませんか」
本当に冗談じゃアねえぜ、だがの……金で生命いのちは買えねえや、え、おう、何処どっかへ相談しに往きねえな、旦那に逢ってう云いねえ、泥坊に奪られて誠に面目次第しでえもござえやせん
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
全く奪られたにちげえ有りやせんて、え、おう何処どっかへ往って相談して見ねえな
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婢「そうして旦那様は何処どっかへ………」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)