付添つきそい)” の例文
それでその麦の別荘に招待されて行くと六十余りの尼僧が居られる。其尼それ付添つきそいの尼僧、女中というような者も七、八名も居るです。家はなかなか立派に出来て居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
胃癌の人は死ぬのはあきらめさえすれば何でもないと云って美しく死んだ。潰瘍の人はだんだん悪くなった。夜半よなかに眼をさますと、時々東のはずれで、付添つきそいのものが氷をくだく音がした。
変な音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
亀屋の亭主もこれまでと口をつぐむありさま珠運口惜くちおしく、見ればお辰はよりどころなき朝顔のあらしいて露もろく、此方こなたに向いて言葉はなく深く礼して叔父に付添つきそい立出たちいずる二タあし三足め
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
付添つきそいや看護婦は驚いた。慌てて御主人に電話をかけた。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
椽の下からあらわいでたる八百八狐はっぴゃくやぎつね付添つきそいおれかかとねらうから、此奴こやつたまらぬと迯出にげだうしろから諏訪法性すわほっしょうかぶとだか、あわ八升も入る紙袋かんぶくろだかをスポリとかぶせられ、方角さらに分らねばしきりと眼玉を溌々ぱちぱちしたらば
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)