他家ほか)” の例文
それに他家ほかから嫁を貰い、夫婦養子をしたほうがよくはなかろうかと、伍兵衛は、女房のおこよとも相談してそうすることに決心した。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
親が手を突いて頼むが、何うかまア他家ほかさまならねげにくいが、此方こちらさまだから悪くもして下さるめえから、此方さまへ奉公して、二年か三年辛抱してくれゝば
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「自家にはお金が他家ほかより余計要るさかい神様がちやんと……」とお桐はまた咳き入つた。
厄年 (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
我が薄井うすゐの家は土地に聞えし名家にて、身はその一つぶもの成りしも、不幸は父母はやくせて、他家ほかに嫁ぎし伯母の是れも良人をつとを失なひたるが、立帰りて我をばおほしたて給ひにき
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それはうよ、それは然うだけれど、他家ほかから嫁子よめっこを貰やア田地が附いて来る、金が附いて来るたって、まうちへ呼ばって、あとで己が気にらねえば仕様がねえ訳だ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
主へ忠なるものは親へは必ず孝なるものだといいますと、娘がわたくしうちはおたかわずか百俵二人扶持にんふちですから、他家ほかから御養子をしてお父さまが御隠居をなさいましても
美「わちき久振ひさしぶりですから長者町ちょうじゃまち福寿庵ふくじゅあんへ往っておらいさんに逢って、義理をしてきたいんですが、帰りに他家ほかへ寄っておまんまを食べるなら、福寿庵へって遣っておくんなさいよ」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そこで女房を貰おうと思うが、媒妁なこうどが入って他家ほかから娘子あまっこを貰うというと、事が臆劫おっくうになっていかねえから、段々話い聞けば、あの男が死んでしまうと、わしは年が行かないで頼る処もない身の上だ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)