事細ことこま)” の例文
その覺え書の中には奴殺しの一件から平次の見込みまで事細ことこまかに書いて居たのですから、これには全く驚いてしまひました。
翌日の各新聞には、この意外な犯人発覚の径路が、夜更けの隅田川、ボート遊びの男から説き起して、事細ことこまかに報道され、全読者に思いもかけぬ激情を味わせた。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
が、其上そのうへ修業しうげふをさせるとなると、月謝げつしや小遣こづかひ其他そのた宗助そうすけはう擔任たんにんしなければ義理ぎりわるい。ところそれ家計上かけいじやう宗助そうすけえるところでなかつた。月々つき/″\收支しうし事細ことこまかに計算けいさんして兩人ふたり
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
病院が手狭てぜまと見えて、お住いは小石川水道町すいどうちょうでした。召使を代えたいからとのお話で、旧津和野つわの藩の人の娘をお世話したことがありました。幾度か事細ことこまかな書面を下さるのでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
……そしてお別れ申すとき、お父上から懇々こんこん申しつけられたとおりを守って上杉家の出来事、御城下のうごき、御家中の取沙汰など、絶えず事細ことこまやかに、お文を以て甲府へ密報しておりました……。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)