予覚よかく)” の例文
旧字:豫覺
そんなことを予覚よかくしているようなは、小鳥ことり自分じぶん姿すがたいだされないように、なるたけいしかげや、くさかげかくれるようにしていました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうしてまたぞっとしたのです。私もKの歩いたみちを、Kと同じように辿たどっているのだという予覚よかくが、折々風のように私の胸を横過よこぎり始めたからです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この二人の運命が刹那せつなに、火! という不安な旋風せんぷうに結びついて万吉のびんな神経へ、不吉な予覚よかくを与えた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私がこのかきものを読み始めて、読み終らない前に、父はきっとどうかなる、少なくとも、私は兄からか母からか、それでなければ伯父おじからか、呼ばれるにきまっているという予覚よかくがあった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)