こい)” の例文
そこで私は、いまだに此の奇怪なる召喚の理由が分らないにも拘らず、兎にも角にも直ちに其のこいを容れたのである。
甚助は、こいを許した。しかし、誓約にとどめて後日の再会を約し、なお行くと、また彼を追って来た者がある。岩村田の近郷に住む田宮平兵衛という郷士だった。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これも一興いっきょうだろうと思ったから、余は女のこいに応じて、例の書物をぽつりぽつりと日本語で読み出した。もし世界に非人情な読み方があるとすればまさにこれである。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私のこいに対し、六里ヶ原の養狐場では、一匹一貫目以上もあらうと思はれる大ものを、かも二頭こも包みにして送つてくれた。皮もついてゐれば、うまい話だがさうはいかぬ。裸の狐だ。
たぬき汁 (新字旧仮名) / 佐藤垢石(著)
こいに応じて院長の松永博士は、直ぐに会ってくれた。
三狂人 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
こいびて 里婦さとのおんなならふに。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
約二年の間そのままにて筐底きょうていよこたはりしを、書肆しょしこいに応じて公けにする事となれり。
『文学論』序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)