“乗人(のりて)” の例文
旧字:乘人
乗人(のりて)が迷っている様子なので、櫓(ろ)を取っている船頭は、ゆるゆると阿波座堀(あわざぼり)を漕(こ)いで、今、太郎助橋(たろすけばし)の橋杭(はしぐい)を交(か)わしかけていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうした。」「馬車屋は外に乗人(のりて)が出来たので逃げてしまったのです。金を取って置きながら不届きな奴だ」といって居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
馬は良し乗人(のりて)は上手でぽん/\乗切(のっき)って頓(やが)て小原山の中央(なかほど)へ参りますと、湯殿山(ゆどのさん)と深彫(ふかぼり)のした供養塔が有ります、大先達(だいせんだつ)喜樂院(きらくいん)の建てました物で
私の主人なんの守(かみ)という大名が登城(とじょう)の途中に、貴方(あなた)の馬に乗ってゆかれる姿勢を見、西洋の鞍(くら)が面白い、まだ見たことがないから、どうか拝見したい、また乗人(のりて)も見事に乗っている
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
けれど鹿毛は若く、鹿毛の乗人(のりて)はまた、平常、信長のように、主君扱いされて、驕(おご)っている者とはちがう。なお、馬に騎(の)る修行も鍛練も、ずっと違う。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頸(うなじ)は鷄(とり)に似て鬣髪(たてがみ)膝を過ぎ、宛(さな)がら竜に異ならず、四十二の旋毛(つむじ)は巻いて脊に連なり、毛の色は白藤の白きが如しと講釈の修羅場では読むという結構な馬に、乗人(のりて)が乗人ですから
しかしどんな名馬でも、その馬をして長く疲れぬように乗りこなすには乗人(のりて)の如何によるこというまでもない。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)