両腋りょうわき)” の例文
青い獄衣のようなものを着て、その胸の部分だけが、前に括り合わされ、両腋りょうわきから乳の辺まで、肌が現われている。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ただし子供が四人になる迄は、その羽衣を返してやってはいけない。三人のうちは両腋りょうわきと足の間とにはさんで、一緒に飛んで還ってしまうからと教えられる。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
先祖は細川高国の手に属して、強弓ごうきゅうの名を得た島村弾正貴則だんじょうたかのりである。享禄きょうろく四年に高国が摂津国せっつのくに尼崎あまがさきに敗れたとき、弾正は敵二人を両腋りょうわきはさんで海に飛び込んで死んだ。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それをコゼットの両腋りょうわきの下に身体を痛めないように注意して結わえ、海員たちが燕結つばめむすびと称する結び方でその襟飾えりかざりを綱の一端に結わえ、綱の他の一端を口にくわえ
自分はいきなり拳骨げんこつを固めて自分の頭をいやと云うほどなぐった。そうして奥歯をぎりぎりとんだ。両腋りょうわきから汗が出る。背中が棒のようになった。ひざ接目つぎめが急に痛くなった。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小僧が泣き、車力が泣き、車が泣くというので、三泣車といったので、車輪は極くちいさくして、ながえ両腋りょうわきあたりに持って、押して行く車で、今でも田舎の呉服屋などで見受ける押車です。
江戸か東京か (新字新仮名) / 淡島寒月(著)