下拵したごしら)” の例文
ゆうべのうちに下拵したごしらえをして置いた茹卵ゆでたまごやハムでサンドイッチをこしらえたり、蜜柑水みかんすいをつくったりなかなかいそがしいのです。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「いや神通力も何もないが私は推理上こういう事が起って来るであろうと大抵知って居たから、その下拵したごしらえをして居た」
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
浅井はほかにも、いろいろの仕事に手を染めはじめていた。会社の下拵したごしらえなどをして、資本家に権利を譲り渡すことなどに、すぐれた手際を見せていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
西園寺陶庵侯の雨声会がひさぶりに近日開かれるといふ事だ。招かれる文士のなかには例年通り今から、即吟の下拵したごしらへに取蒐とりかゝつてゐるむきもあるらしいと聞いてゐる。
「この高氏がむほんと聞いて、そこもとが、急にがくとするいわれはなかろう。天下をくつがえす下拵したごしらえにかけては、そちらは高氏などよりも、一日早い先輩だった」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私宅にて美術学校入学の下拵したごしらえをして、後に入学。卒業後、香川県の工芸学校の教師となった。
入れ替って来る客もたいてい同じようで、遊びにゆく下拵したごしらえに飲む、というふうであった。
おさん (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しかし確かにその下拵したごしらえだった。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
これは私がこれから雪山の道のない所をえて行く下拵したごしらえをして置くのでそうして修練しませんければ
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
十歳の時、母の里方さとかた、埼玉の東大寺へ奉公の下拵したごしらえに行き、一年間いて十一に江戸へ帰った。
材料の買い出しから下拵したごしらえ、揚げるのも客へ出すのも、この父子できびきびとやっていた。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それらの下拵したごしらえをしてきたのは、みなこの吉致の暗躍にあったのだ。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「こんどこそものにしなければならぬ、こんな機会はまたとあるものではない、とすれば、こっちでも充分に手を打って、外れることのないように下拵したごしらえをしなければならぬ」
それはもう大教師の許しを受けて来れば決してむつかしい事はないのですぐに済みました。これでまあ仮入学が出来たんですから、これから大学の議論部に入る試験の下拵したごしらえをしなくちゃあならん。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)