“下屋(したや)” の例文
開塾後(かいじゅくご)は、食事は朝昼晩、塾生といっしょに本館でとることになっていたので、台所は四畳半の縁先(えんさき)に下屋(したや)をおろして当分間に合わせることになっていた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
洩りて領(えり)に入(い)る淺間の山の雪おろし弓なりに寐るつる屋の二階是等も何ぞの取合せと思ふ折しも下屋(したや)賑はしく馬士(まご)人足の醉(ゑ)ひたるならん祭文(さいもん)やら義太夫やら分らぬものを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
萌黄(もえぎ)、淡紅(ときいろ)しどけない夜(よる)の調度(てうど)も部屋々々(へや/″\)にあからさまで、下屋(したや)の端(はし)には、紅(あか)い切(きれ)も翻々(ひら/\)する。寢轉(ねころ)んだ男(をとこ)、柱(はしら)に凭(よ)つた圓髷姿(まるまげすがた)、膳(ぜん)を運(はこ)ぶ島田髷(しまだまげ)が縁側(えんがは)を——恁(か)う宙(ちう)に釣下(つりさが)つたやうに通(とほ)る。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)