上巳じょうし)” の例文
過ぐる日の上巳じょうしの祝節。わが仁宗皇帝におかれては、打ちつづく世の悪疫あくえきを聞こしめされ、いたく宸襟しんきんをなやませ給うた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何故上巳じょうしが女、端午たんごが男の節供となったかというと、前述の山籠り・野遊びの時季になっていたに過ぎないのである。
雛祭りとお彼岸 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
逃虚子はぶつを奉じて、しか順世じゅんせい外道げどうの如く、遜志斎は儒を尊んで、しか浄行者じょうぎょうしゃの如し。嗚呼ああ、何ぞ其の奇なるや。しかも遜志斎も飲を解せざるにあらず。其の上巳じょうし南楼なんろうに登るの詩に曰く
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
上巳じょうしの日に、従軍の将士は忠利侯から御盃を頂戴した。甚兵衛も惣八郎も、百石の加増を賜った。その日、殿中の廊下で甚兵衛は惣八郎に会った。惣八郎は晴々しい笑顔を見せながら
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
いにしえから、今日の上巳じょうしノ祝節(節句)には、桃花の流れにみそぎして、官民のわかちなく、和楽を共に、大いにたのしみ遊ぶ日とされております。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折ふし上巳じょうし節句せっくとて、どこのむすめも女房たちも、桃の昼に化粧けわいをきそい、家の内には、宵にともひなまつりの灯や、盃事さかずきごとの調べなどして、同じあめしたながら
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)