三歳児みつご)” の例文
旧字:三歳兒
足立さんはそれから静かに理を分けてまるで三歳児みつごに言い聞かすように談すと野郎もさすがに理に落ちたのか、私の権幕にじたのか
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
塹壕の外に故意わざと足を投出したり、手を突出したりして受けた負傷と、銃身を構えて前進しながら受けた傷とは三歳児みつごでも区別出来ることを汝等は知らんのか。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
法諱おんなを聞けば其頃の三歳児みつごも合掌礼拝すべきほど世に知られたる宇陀の朗圓上人とて、早くより身延の山に螢雪の苦学を積まれ、中ごろ六十余州に雲水の修行をかさね
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
気分すぐれて良き時は三歳児みつごのやうに父母のひざねぶるか、白紙を切つて姉様の製造おつくりに余念なく、物を問へばにこにこと打笑うちゑみて唯はいはいと意味もなき返事をする温順をとなしさも
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きもしない。「早くお拭きなね」と母親はしかッた。「膝の上へ茶をこぼして、ぽかんと見てえる奴が有るもんか。三歳児みつごじゃア有るまいし、意久地の無いにも方図ほうずが有ッたもンだ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
これが尋常じんじょうの者なら、悩乱悶絶のうらんもんぜつはむろんのこと、地に着かぬうちに死んでいるべきだが、山気さんきをうけた一種の奇童きどう三歳児みつごのときから果心居士かしんこじにそだてられて、初歩の幻術げんじゅつ浮体ふたい秘法ひほうぐらいは
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法諱おんなを聞けばそのころの三歳児みつごも合掌礼拝すべきほど世に知られたる宇陀うだ朗円上人ろうえんしょうにんとて、早くより身延みのぶの山に螢雪けいせつの苦学を積まれ、中ごろ六十余州に雲水の修行をかさね
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)