三日月形みかづきがた)” の例文
そういって、おとうとのほうは、ポケットから、三日月形みかづきがたりたたんだ、紙製かみせい風船球ふうせんだまして、空気くうきをいれるべく、きました。
おさくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
眉深まぶかに鳥打帽をかぶっても、三日月形みかづきがたひさしでは頬から下をどうする事もできないので、直下じかりつけられる所は痛いくらいほてる。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
底光そこびかりのするかがみなかに、めばほどほのかになってゆく、おのがかお次第しだいあわえて、三日月形みかづきがた自慢じまんまゆも、いつかいとのようにほそくうずもれてった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ぴかぴか光る三日月形みかづきがたの黄金片と、焼けこげのある絹ハンカチの一部とは、共に無事であった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ここに三日月形みかづきがたの欠け目がありましょう、ここへ葉巻を入れてぷつりと口を切るんです。それからこの根にちょと細工がありましょう、これで針金をぽつぽつやりますね。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「ほんとうかどうか、とにかく君が今話をした三日月形みかづきがたの黄金メダルというのによく似ていた。君の話では、お稲荷いなりさんのお堂に住んでいた男が、あの店へ売ったんじゃないかな」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)