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三俵法師
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さんだらぼふし
壇を
落ちるやうに
下りた
時、
黒い
狐格子を
背後にして、
婦は
斜違に
其處に
立つたが、
呀、
足許に、
早やあの
毛むくぢやらの
三俵法師だ。
動止んだ
赤茶けた
三俵法師が、
私の
目の
前に、
惰力で、
毛筋を、ざわ/\とざわつかせて、うツぷうツぷ
喘いで
居る。
婦はあとびつしやりをする、
脊筋を
捩らす。
三俵法師は、
裳にまつはる、
踵を
嘗める、
刎上る、
身震する。