万乗ばんじょう)” の例文
旧字:萬乘
「仰せを聞けば、いつかまた万乗ばんじょうの位に還るお夢でもごらんのようだが、まずそのような煩悩ぼんのうは、さらりとお忘れあった方がよろしゅうござろう」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またこの不同不二ふどうふじ乾坤けんこん建立こんりゅうし得るの点において、我利私慾がりしよく覊絆きはん掃蕩そうとうするの点において、——千金せんきんの子よりも、万乗ばんじょうの君よりも、あらゆる俗界の寵児ちょうじよりも幸福である。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一天万乗ばんじょうの大君の、御座ぎょざかたわらにこの后がおわしましてこそ、日の本は天照大御神の末で、東海貴姫国とよばれ、八面玲瓏れいろう玉芙蓉峰ぎょくふようほうを持ち、桜咲く旭日あさひの煌く国とよぶにふさわしく
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「おそれ多くも、みかどでいらせられる。たとえかかるお姿にはならせられても、万乗ばんじょうの天子の御前みまえ
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さればじゃ。そこにおらるる使者の言葉にはそむき得ぬ道理がある。この郷土も、尾張一国も、すべて一信長や一蜂須賀のものではない、万乗ばんじょうきみのしろしめすものであるという——木下殿の言に、いなと、あなたは云いれるか」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
万乗ばんじょうくらいをすてて
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)