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りょうそく
戸数五百に足らぬ一筋町の東の
外れに石橋あり、それを渡れば
商家でもなく百姓家でもない
藁葺き屋根の左右
両側に建ち並ぶこと一丁ばかり、そこに
八幡宮ありて、その
鳥居の前からが
片側町
なお妾と互い違いに
臥して妾の
両足をば自分の両
腋下に
夾み、
如何なる
寒気もこの
隙に入ることなからしめたる、その真心の有りがたさ。
ト口へ出して考えて、フト
両足を
蹈延ばして
莞然笑い、
狼狽てて
起揚ッて
枕頭の
洋燈を吹消してしまい、枕に就いて二三度
臥反りを打ッたかと思うと間も無くスヤスヤと寐入ッた。