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よつゆ
それをどこまでもいくと、
広い
原っぱへでました。そこは
霞ガ
浦のふちで、
一面に
夏草がはえしげっています。夏草には
夜露がしっとりとおりています。
それは、もう
冬に
近い、
朝のことでした。一ぴきのとんぼは、
冷たい
地の
上に
落ちて、じっとしていました。
両方の
羽は
夜露にぬれてしっとりとしている。
此話は一
同に
著しき
感動を
與へました。
中には
遁出した
鳥さへあり、
年老つた一
羽の
鵲は
用心深くも
身仕舞して、『
家へ
歸らう、
夜露は
咽喉に
毒だ!』と
云ひ
出しました。