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めんぜん
老宰相は
使をやって夫人の父と兄を呼んでその
面前で夫人を
鞠問した。夫人は罪悪を包みかくさず自白した。
『
余も
其方の
面前で、この
事を
譽めるのは、
今夜が
初めだ。
其方とは
何かにつけて、
氣が
合ふなう。』
彼は
腹の
中で
斯う
考へながら、
宜道の
面前で、それ
丈の
事を
言い
切る
力がなかつた。
彼は
心から
此若い
禪僧の
勇氣と
熱心と
眞面目と
親切とに
敬意を
表してゐたのである。