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みののかみどの
『しかし、
美濃守殿も、
不慮のことでなう。
江戸表參覲の
出がけに、
乘り
物の
中で
頓死するといふのは
椿事中の
椿事だ。』と、
但馬守の
言葉は、
死といふことになると
美濃守殿のことから、
其方の
潔白を
聞いて、ひどく
感心したのだつたな。
全く
其方は
此の
卑劣な、
強慾な、
恥知らずの
人間ばかり
多い
土地で、
珍らしい
潔白な
高尚な
人間だ。
ところが
美濃守殿の一
件で、
言はゞ五
萬三
千石の
家が
立つか
潰れるかを、
其方の
掌に
握つたも
同樣、どんな
言ひがかりでも
付けられるところだと、
内々で
注意してゐると、
潔白の
其方は