-
トップ
>
-
てなら
無理やりに、
手習いッ
子に
筆を
握らせるようにして、たった二
行の
文ではあったが、いや
応なしに
書かされた、ありがたく
存じ
候かしこの十一
文字が
気になるままに
私はこれから
一生懸命勉強をしようと思つてゐます。私がこんど六十の
手習ひのやうな
語學を初め出しましたのは、その
第一
歩のつもりなんです。私達は決して今のまゝで
死んではなりません。
木綿袷の
條柄も分かぬまでに着古したるを
後褰にして、
継々の
股引、
泥塗の
脚絆、
煮染めたるばかりの
風呂敷包を斜めに背負い、
手馴したる
白櫧の杖と
一蓋の
菅笠とを
膝の辺りに引寄せつ。