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だうゝ
拙者は
故から此石とは
馴染なので、この石の事なら
詳細く
知て居るのじや、
抑も此石には九十二の
竅がある、其中の
巨な
孔の中には
五の
堂宇がある
竅の
數と
孔中の
堂宇の二
證據で、石は
雲飛のものといふに
定り、石賣は或人より二十兩出して
買た
品といふことも
判然して
無罪となり、
兎も
角も石は
首尾よく雲飛の手に
還つた。
言はれて
雲飛は
仔細に
孔中を
見ると果して小さな
堂宇があつて、
粟粒ほどの大さで、
一寸見た
位では
決して
氣が
附ぬほどのものである、又た
孔竅の
數を
計算するとこれ亦た九十二ある。