“ぜんしやく”の漢字の書き方と例文
語句割合
前借100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私は早速さつそく用談に取りかかつた。近々きんきん私の小説集が、この書肆から出版される。その印税の前借ぜんしやくが出来るやうに、一つ骨を折つて見てはくれまいか。——これがその用談の要点であつた。
塵労 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それでゐて、健の月給はたつた八円であつた。そして、その八円は何時いつでも前借ぜんしやくになつてゐて、二十一日の月給日が来ても、いつの月でも健には、同僚と一緒に月給の渡されたことがない。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それはかれわづかあひだ放浪者はうらうしやおそろしさをおもつて、假令たとひどうしてもその統領とうりやうあざむいて僅少きんせう前借ぜんしやくかねたふほど料簡れうけんおこされなかつたのである。うち張元ちやうもとから葉書はがきた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)