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おほぶろしき
彼は五
足づつを
一つに
束ねた
草鞋とそれから
繩が
一荷物に
成ると
大風呂敷で
脊負つて
出た。
彼は
股引に
草鞋を
穿いて
其の
大風呂敷を
脊負つて
立つた。
麥酒の
明罎二
本へ一
杯の
醤油を
莎草繩で
括つて
提げた。それから
彼は
又煎餅を一
袋買つた。
醤油と
米とが
善いので
佳味い
煎餅であつた。
福山藩士に
稲生某と云ふものがあつた。其妻が難産をして榛軒が
邀へられた。榛軒は忽ち
遽だしく家に還つて、妻志保に「
柏の著換を皆出せ」と命じ、これを
大袱に
裹んで随ひ来つた僕にわたした。