“うわごと”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
譫言50.0%
囈言25.5%
譫語12.2%
囈語9.6%
譫妄0.5%
囈口0.5%
譃語0.5%
譫事0.5%
讒言0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それは譫言うわごとのような、魘されているような声であった。よろめきながら立ち上り、よろめきながら前へ進み、松女は近々と顔を寄せた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そうして、ときどき熱の加減か囈言うわごとのように、「あれ、熊が来た」などと口走るので、家内の者も心配しているとのことであった。
半七捕物帳:29 熊の死骸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「寒月君、君の事を譫語うわごとにまで言った婦人の名は、当時秘密であったようだが、もう話しても善かろう」と迷亭がからかい出す。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼自身が意識していない囈語うわごとの一種だから、その点は責むる由はないが、今、貞実無比なるお松が、深夜、入念に筆写を試みているその内容は
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼の譫妄うわごとめいたものを口には出さなかったけれども、それには背後から追い迫って来る、悪夢のような不思議な力が潜んでいた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「いや、少なくとも三つの事件までは……」と鎮子のことば譫妄うわごとのような調子で云い直してから、「そうすると久我さん、貴女あなたはまだ、昨夜の神意審問の記憶に酔っているのですね」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それほどまでにあなたはわたしがお憎いの?……麻酔ますい中にわたしのいう囈口うわごとでも聞いておいて笑い話の種になさろうというのね。えゝ、ようごさいますいらっしゃいまし、御覧に入れますから。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
つまらぬ譃語うわごとばかり言っている。丑満時が、どうしたというのです。恥ずかしげもなく、芝居がかった形容詞を並べたて、いったい、何をそんなに、いきまいているのですか? みっともない。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
開きは着かぬまでも三人四人でおさえ切れぬのが、しずかに納まって、夢中でただ譫事うわごとを云うくらいに過ぎぬ。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水や薬の騒ぎでようように息を吹きかえしたが、お米はその夜なかから大熱を発して、取り留めもない讒言うわごとを口走るようになった。
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)