ぬす)” の例文
新字:
半年ばかりたつ何者なにものとも知れず、はかあばいて石をぬすさつたものがある。子は手掛てがかりがないのでふことも出來ず其まゝにして二三日たつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
小賊せいぞくかずして、すなはかたなつてゆびつてたまぬすむや、ゆびよりくれなゐいとごとほとばしりぬ。頭領とうりやうおもてそむけていはく、於戲痛哉あゝいたましいかな
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
聞糺きゝたゞもし出所しゆつしよ明らかなれば夫までの事萬一胡亂うろんの申口ならば見世にありし百兩の金を文右衞門がぬすとりしと云懸いひかゝりて同人が所持の金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つてユーゴのミゼレハル、銀器ぎんきぬす一條いちでうみしときその精緻せいちおどろきしことありしが、このしよするところおそらくりんにあらざるべし。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
ぬすんだつちわけぢやねえが、ふたとつてところなんだよ」さういつてばあさん風呂敷ふろしき四隅よすみつかんで圍爐裏ゐろりそばつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その風雪ふうせつの一にぎりのつぶては、時々とき/″\のやうな欄間らんますき戸障子としやうじなかぬすつて、えぬつめたいものをハラ/\とわたし寢顏ねがほにふりかけてゆく。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
いつも眞赤まっかになってゐる……そのひめくちびるから永劫えいがうなぬ天福てんぷくそっぬすむことも出來でくる、ロミオにはそれがかなはぬ。
地方自治ちはうじちぜにわたしたら、れこそ彼等かれらみなぬすんでしまひませう。』と、ブロンヂンのドクトルはわらす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ぬすんだナ!』と王樣わうさま陪審官ばいしんくわんかへりみながらさけばれました、陪審官ばいしんくわんえず事實じゞつ備忘録びばうろくつくつてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
げもせずかくられもせず、よくかしらねどぬすみましたと白状はくぜうはしましよ、伯父樣おぢさま同腹ひとつきだけを何處どこまでもべて、かれずば甲斐かひなし其塲そのばしたかみつてんだなら
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのわたし可哀かあいさうにおもつて、親狐おやぎつねわたしふなりにそだてゝれましたとか。わたしひとふことなぞをかないで、自分じぶんのしたいことをしました。にはとりべたければ、にはとりぬすんでました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
たふし我が子を夫婦となせし上自分も共にたのしまんとくしぬすませ金をかたり取らせしならんと云ふに與惣次打點頭うちうなづき成程お專が言ふ如く毒ある花は人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
以前いぜんから勘次かんじあきになれば掛稻かけいねぬすむとかいふ蔭口かげぐちかれて巡査じゆんさ手帖ててふにもつてるのだといふやうなことがいはれてたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
こいつ老爺おやぢぬすんだときふおつかけて行くと老人悠々いう/\としてあるいて居るので追着おひつくことが出來た。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
くおきなさい、わたしなんにもぬすんだこともなし、貴方あなたなにいたしたことはいのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
をんなもまたつりばりよりこひ甘餌あまゑさぬすおそろしさ。
心臟ハート軍人ネーブ栗饅頭くりまんぢうぬすんで
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
いちごぬすんだものであつた。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其方儀主人しゆじん庄三郎養子又七つま熊と密通致し其上そのうへとほ油町あぶらちやう伊勢屋三郎兵衞方にて夜盜やたう相働あひはたらき金五百兩ぬすみ取り候段重々ぢゆう/\不屆ふとゞきつき町中まちぢう引廻ひきまはしの上淺草あさくさに於て獄門ごくもん申付くる
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次かんじいへには突然とつぜんどう驚愕きやうがくせしめた事件じけんおこつた。それはこともなくんでさうしてあまりに滑稽こつけい分子ぶんしまじへてた。與吉よきち夕方ゆふがたかみつゝんだ食鹽しよくえんひとぬすんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まくらしたや、寐臺ねだい何處どこかに、なにかをそツとかくしてく、れはぬすまれるとか、うばはれるとか、氣遣きづかひめではなくひとられるのがはづかしいのでさうしてかくしてものがある。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)