“實(げ)” の例文
新字:実
暮(くら)し兼(かね)るも二君に仕へぬ我魂魄(わがたましひ)武士の本意と思へども實(げ)にあぢきなき浮世(うきよ)かなと一人涙を流したる問(とは)ず語(がた)りの心の中思ひ遣(やら)れて憐(あは)れなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
實(げ)にや輪王(りんのう)位(くらゐ)高(たか)けれども七寶(しつぱう)終(つひ)に身に添はず、雨露(うろ)を凌がぬ檐(のき)の下にも圓頓(ゑんどん)の花は匂ふべく、眞如(しんによ)の月は照らすべし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
『此處に生れてこゝに死に・都の春を知らざれば・其身は淨き蓮の花・思は澄める秋の月・實(げ)に厭ふべき世の塵の・心に染みしことぞなき』(十九節)
新詩発生時代の思ひ出 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)
他(ほか)の動物(どうぶつ)も、みんな同(おな)じやうに泣(な)いてばかりゐました。實(げ)に、動物園(どうぶつゑん)は動物(どうぶつ)の監獄(かんごく)でありました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
あゝ/\我は斯(か)かる無人の島に漂うて辛うじて命を継(つな)ぎ居(お)るに、仇(あだ)は日々夜々(ひゞよゝ)に歓楽を極めて居(お)ることであろう、實(げ)に浮世とは申しながら、天はさま/″\に人を操(あやつ)るものかな、蟠龍軒よ
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
付け置かるゝとぞ同じ虫でも蠶(かひこ)の如く人に益し國を富(とま)すあれば此(か)く樹を枯して損を與たふるものあり實(げ)に世はさま/″\なりと獨り歎じて前面(むかふ)を見れば徃來は道惡き爲めに避けてか車の行くを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
なやましき柳(やなぎ)を吹(ふ)く風(かぜ)さへ、赤(あか)き蟻(あり)の群(むらが)る如(ごと)し。あれ、聞(き)け、雨乞(あまごひ)の聲(こゑ)を消(け)して、凄(すさま)じく鳴(な)く蝉(せみ)の、油(あぶら)のみ汗(あせ)に滴(したゝ)るや、ひとへに思(おも)ふ、河海(かかい)と山岳(さんがく)と。峰(みね)と言(い)ひ、水(みづ)と呼(よ)ぶ、實(げ)に戀人(こひびと)の名(な)なるかな。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
實(げ)に自らを誇(ほこ)りつゝ、將(はた)、詛(のろ)ひぬる、あはれ、人の世。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
實(げ)にいささめの縁(えに)ながら、空華(くげ)にはあらじ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
實(げ)に靜まれる日の朝け、曾て覺えぬ悦(よろこび)に
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
扇(あふぎ)にて麾(さしま)ねき、實(げ)に頼(たの)もしき器(き)
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
よし兎(と)に角(かく)車(くるま)願(ねが)ひたしと押(おし)かへして頼(たの)み入(い)るゝに師匠(しゝやう)實(げ)にもと氣(き)の毒(どく)がりて然(さ)らばお止(と)め申(まを)すまじとてもお歸(かへ)りなさるゝに夜(よ)が更(ふ)けてはよろしからず車(くるま)大急(おほいそ)ぎに申(まを)して來(こ)よと主(しゆ)の命令(いひつけ)には詮方(せんかた)なくてや恨(うら)めしげながら承(うけたま)はりて梯子(はしご)あわたゞしく馳(は)せ下(お)りしが水口(みづぐち)を
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
逆手(さかて)に取直し胸の邊(あた)りへ押當て柄(つか)も徹(とほ)れと刺貫(さしつらぬ)き止めの一刀引拔ば爰に命は消果(きえはて)ぬ實(げ)に世に不運の者も有者哉夫十兵衞は兄長庵の爲に命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
實(げ)に佛者は行(おこなひ)の半(なかば)には、王侯の召(めし)にも應ぜずとかや、我ながら心なかりしと、暫(しば)し門下に彳みて、鈴の音の絶えしを待ちて復(ふたゝ)び門(かど)を敲けば、内には主(あるじ)の聲として
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ヨイサといふ實(げ)に麓より見上げて胸を衝くばかりの鳥居峠など上らんに右の手の竹杖に岩角を突き斯く唄はゞ其の勞(つかれ)を忘るゝ事もあるべし我輩越後に赴きしとき米山(よねやま)を越えて後に新潟にて米山節を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
實(げ)に我(われ)も其日(そのひ)はじめて訪(と)ひ到(いた)れる友(とも)の家(いへ)を尋(たづ)ねあぐみしなりけり。
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
實(げ)にいささかの縁(えに)ながら、空華(くげ)にはあらじ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
實(げ)にそが黄金環(こがねわ)劃(かぎ)る虚空(みそら)のみち
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
してたもれと言れて乳母(うば)は實(げ)にもと思ひ暫(しば)し工夫に暮(くれ)居(ゐ)たり折柄(をりから)媒人(なかうど)の富右衞門來りしにより是(これ)幸(さいは)ひと乳母は彼の艷書を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
實(げ)にや縁に從つて一念頓(とみ)に事理(じり)を悟れども、曠劫(くわうごふ)の習氣(しふき)は一朝一夕に淨(きよ)むるに由なし。變相殊體(へんさうしゆたい)に身を苦しめて、有無流轉(うむるてん)と觀(くわん)じても、猶ほ此世の悲哀に離(はな)れ得ざるぞ是非もなき。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
實(げ)にあえかなる優目見(やさまみ)のもの果(はか)なさは
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
二八二 實(げ)に觀行より智を生ず、不觀行より智を盡す、此の利と不利との二の道を知り自ら修して智を増さしむべし。
法句経 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
實(げ)にあえかなる優目見(やさまみ)のもの果なさは
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
鳰(にほ)や、實(げ)に淨(きよ)めの童女(をとめ)
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
北海の膃肭(おつと)は、實(げ)に
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)