黒姫くろひめ)” の例文
黒姫くろひめは眞正面に雄大な壓倒するやうな勢で、上から見下してゐる。飯繩は左へよつて右肩からおろして來る一線を裾長く曳いてゐる。
霧の旅 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)
又高田の藩士はんし材用にて樵夫きこりをしたがへ、黒姫くろひめ山に入り小屋を作りて山に日をうつせし時、猿にて猿にもあらざる物、夜中小屋に入りて焼火たきびにあたれり。
事が起ると足擦あしずりしてお妬みなさいました。しかるに天皇、吉備きび海部あまべあたえの女、黒姫くろひめという者が美しいとお聞き遊ばされて、し上げてお使いなさいました。
なにしろ、中央山脈ちゅうおうさんみゃくなかでも、黒姫くろひめは、険阻けんそといわれまして、六、七がつごろまで、ゆきがあります。
山に雪光る (新字新仮名) / 小川未明(著)
飯綱いいづなにも黒姫くろひめにも炭焼の煙がたつ。煙が裾曳すそびくのは山颪やまおろしであろう。
島守 (新字新仮名) / 中勘助(著)
役小角後学えんのしょうかくこうがく 烏龍道人うりゅうどうにん信州しんしゅう黒姫くろひめ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又高田の藩士はんし材用にて樵夫きこりをしたがへ、黒姫くろひめ山に入り小屋を作りて山に日をうつせし時、猿にて猿にもあらざる物、夜中小屋に入りて焼火たきびにあたれり。
この天皇、葛城かずらきのソツ彦ののアシダの宿禰の女の黒姫くろひめの命と結婚しておみになつた御子みこは、いちのオシハの王・ミマの王・アヲミの郎女いらつめ、又の名はイヒトヨの郎女のお三かたです。