めん)” の例文
「オ、また一わんめんができて来ましたよ。さあさあ、おさきにおあがりください。して何ですか、そのお山というのは」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっとも乾うどんのうでたのだ。一体にこの辺ではめん類を賞美する。私はある農家で一週に一度ずつ上等の晩餐ばんさんに麺類を用うるという家を知っている。蕎麦そばはもとより名物だ。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
山地の住民はこれを穀物に交えてめんに作って食べていた(伊那一五三号)。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
余の郷里にては饂飩うどん椎茸しいたけせり胡蘿蔔にんじん、焼あなご、くずし(蒲鉾かまぼこ)など入れたるをシツポクといふ。これも支那伝来の意であらう。めん類は総て支那から来たものと見えて皆漢音を用ゐて居る。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
城外のいぶせき飯屋めしやでひるめしの白麺うどんを二人してすすっていると、隣の床几しょうぎでも一人の老人がお代りを急いでいた。折ふし客が混んでいたのでなかなかお代りのめんが来ない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古来、この河の荒れてたたりをなすときには、三人を生きながら沈めて祭る風習があったと聞き、孔明は、めんに肉を混和して、人の頭の形を作り、これをその夜の供え物にした。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうそう、ごんぞ。勝手元に、御近所から到来物のそうめんがあるぞ」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ちとばかり、手作りのそうめんを冷やしましたので」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)