鵜沼うぬま)” の例文
中仙道は美濃の鵜沼うぬま駅から北へ三里、武儀むぎ志津野しづのという町で、村続きの林を伐ったときに、これは山というほどのところでもなく
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
鵜沼うぬまから洲股へ、知らせが届いた。藤吉郎は、彦右衛門のほか、気のゆるせる部下を、わずか十名ばかり連れて、指定の場所まで赴いた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東山道軍御本陣の執事から出た順路の日取りによると、二月二十三日は美濃の鵜沼うぬま宿お休み、太田宿お泊まりとある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
中仙道は鵜沼うぬま駅を麓とした翠巒すいらんの層に続いて西へとつらなるのは多度たどの山脈である。鈴鹿すずかかすかに、伊吹いぶきは未だに吹きあげる風雲のいのしし色にそのいただきを吹き乱されている。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
爭ひ兄弟親子しんし疎遠になりかたき同士と摺れ合ふよりは幸福なりなど思ひつゞくるうち鵜沼うぬまも過ぎて加納かなふに着きしが此間このあひだの景色川あり山あり觀音坂といふ邊など誠に面白き所なりし岐阜の停車塲ステーシヨンの手前の料理店にりて晝を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
美濃、尾張を境する木曾の大川をその上流に監視し、まぢかに鵜沼うぬまの渡しをやくして、一城よく百塁のけんにあたるものを、あたら敵へ加えてしまった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鵜沼うぬままで帰って来て見た。新政府の趣意もまだよく民間に徹しないかして、だれが言い触らすとも知れないような種々さまざまな流言は街道に伝わって来る時である。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それに、先頃、藤吉郎に心服して、ふかく彼の恩義を感じている鵜沼うぬまとら——大沢治郎左衛門が、先に立って
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鵜沼うぬまの虎を用いて、西美濃の三人衆だにくだしてしまえば、美濃は、居ながらにも自滅するように申したのは、そちではないか。なぜ、まだ時が早いというか」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝、岐阜城を発して、ひる鵜沼うぬまにつき、ただちに木曾川に船橋をけさせて、夜営した。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)