鴻山こうざん)” の例文
常木鴻山こうざんと一緒にいたので睨まれたのだろうが、もうよい加減にして貰いたいな。心煩しんぼんという病気になる、蘭方らんぽうでいえば神経衰弱……
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小布施おぶせの高井鴻山こうざんだの、松代の佐久間象山しょうざんだの、幾たびもせがんで来たが一度も見せやせん。——それとなく、早く取り戻せよ、よいか
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「どうぞ、情けと思うて、私をここから帰して下さい。加茂のお屋敷を無断で出ては、左京之介様や鴻山こうざん様に、申しわけがありませぬ」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大阪に見えない鴻山こうざんはどうしたろうとか、俵一八郎の伝書鳩はどうだとか、木曾のお六ぐし朱漆しゅうるしをかけてミネに銀の金具をかぶせ
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぬきや屋敷は、住む人もなく荒廃こうはいして、そこには、以前のようなやからも住んでいなければ、常木鴻山こうざんも源内もすでにいなかった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
笠のひもに、二重に結ばれたおとがいをさしのぞくと、がっしりした中年以上の武家、それは、大阪表から久しく姿を見せずにいた常木鴻山こうざんであった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さすれば鴻山こうざんも、その間に甲比丹かぴたんの三次や荷抜屋ぬきやの手下どもをさとして、阿波へ渡る秘密船を仕立てさせ、万事の手筈を調ととのえておくであろう
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
驚きひるむ原士の前に、降って湧いたように立っていた編笠は、前の日、山科やましなから三挺の駕の行方を追跡していた常木鴻山こうざん
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
支度がすむと、やがて二人は笠を揃えて、常木鴻山こうざんの前に立ち、情け深い今日の取りなしに真心からの礼をのべる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが常木鴻山こうざんであると知ったら、その必要もなかったが、咄嗟とっさふたをかぶってしまったので、かれも先も気がつかずに、鴻山はまた走りだして行った。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法月弦之丞をはじめ常木鴻山こうざんや目明しの万吉や、それはみな、自分と妙な因縁をもっている者ばかりで、一角の話がいちいち自分の過去であるのが妙である。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女は、心待ちにしていたお綱、ということが、万吉にも一目で分ったが、はてな? 連れの侍は何者だろう——と膝をついて下から仰ぐと、訪れた常木鴻山こうざん
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
万吉はどうしているだろうか? 常木鴻山こうざんもさだめし消息を案じているだろう? 松平左京之介様は、自分たちの吉左右きっそうを、首を長くして待っているに違いない。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)