鱗片りんぺん)” の例文
百合とは、その地下の球根(植物学上でいえば鱗茎りんけい)に多くの鱗片りんぺんがあって層々そうそうと重なっているから、それでそう百合というとのことである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
厚さ一センチ程度で長さ二十センチもある扁平へんぺいな板切れのような、たとえば松樹の皮の鱗片りんぺんの大きいのといったような相貌そうぼうをした岩片も散在している。
小浅間 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
普通ふつう中学校などにそなけてある顕微鏡けんびきょうは、拡大度かくだいどが六百ばい乃至ないし八百倍ぐらいまでですから、ちょうはね鱗片りんぺん馬鈴薯ばれいしょ澱粉粒でんぷんりゅうなどはじつにはっきり見えますが
手紙 三 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
球根もきわめて大きく、鱗片りんぺんも大形で肉厚く黄色をていし、食用ユリとしても上位をむるものといってよろしい。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
尤も鼠の尻尾しっぽも一種の鱗片りんぺんで蔽われているし、その他身体の一部に多少の鱗片あるものはあるが、狐の先祖が鱗片を着けていたという説は新しい。この説を出したのはウィンナの人である。
「万年筆」欄より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
右、鱗茎りんけいは白色、あるいは黄色の鱗片りんぺん相重あいかさなってっているが、この鱗片りんぺんは実は葉の変形したものである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
それを炮烙ほうろくってお八つの代わりに食ったりした。それは百合ゆりのような鱗片りんぺんから成った球根ではあったが、大きさや格好は今度のと似たものであった。彼はその時分の事をいろいろ思い出していた。
球根 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)