魴鮄ほうぼう)” の例文
浦島太郎と乙姫様が竜宮に三百年暮らすうち、鮟鱇の踊りも、魴鮄ほうぼうの浪花節も見向きもせず、時を忘れて娯んだといふ、霊顕あらたかな品物で
僧都 真鯛まだい大小八千枚。ぶりまぐろ、ともに二万びきかつお真那鰹まながつおおのおの一万本。大比目魚おおひらめ五千枚。きす魴鮄ほうぼうこち鰷身魚あいなめ目張魚めばる藻魚もうお、合せて七百かご
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その頃鯰の他に魴鮄ほうぼうを拵えたが、「魴鮄」は武者小路さんたちが中心でやった「大調和展」に出した。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
豆腐蒸とうふむしと行きましょうか。ごくごくの淡味うすあじにして、黄身餡きみあんをかけてもらいましょう。焼物は、魴鮄ほうぼうの南蛮漬。口がわりは、ひとつ、手軽に、栗のおぼろきんとんに青柳あおやぎ松風焼まつかぜやき
顎十郎捕物帳:16 菊香水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
魴鮄ほうぼう吸物すいもの 夏 第九十 お吸物
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
魴鮄ほうぼうひれにじを刻み、飯鮹いいだこの紫は五つばかり、ちぎれた雲のようにふらふらする……こち、めばる、青、鼠、樺色かばいろのその小魚こうおの色に照映てりはえて、黄なる蕈は美しかった。
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
甘鯛、いとより鯛、魴鮄ほうぼうの濡れて艶々つやつやしたのに、青い魚が入交って、きす飴色あめいろが黄に目立つ。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)