鬼々おに/\)” の例文
下世話げせわに謂う探偵、世に是ほどいまわしき職務は無く又之れほど立派なる職務は無し、忌わしき所を言えば我身の鬼々おに/\しき心を隠し友達顔を作りて人に交り
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
此花おほよそは薊に似て薊のように鬼々おに/\しからず、色の赤さも薊の紫がゝりたるには似で、やゝ黄ばみたれば、いやしげならず、葉の浅翠あさみどりなるも、よくうつりあひて美しく
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
可愛かわいらしき四つばかりの、彼子あれ先刻さつきひとのでござんす、あのちいさな子心こゞゝろにもよく/\くいとおもふとえてわたしことをば鬼々おに/\といひまする、まあ其樣そん惡者わるものえまするかとて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
鬼々おに/\しくなつた枯木の山を望んでは黯然としてこれを哀しまないものは無い。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)