高脚たかあし)” の例文
なるほど箱の中には高脚たかあしつきの膳が入っていて、膳の上に吸物、さしみ、口取り、その他種々の材料をはじめ庖丁俎板まないたまで仕込んである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
能登守が足を留めて障子を外から開いた部屋には、高脚たかあし行燈あんどんが明るく光っておりました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
客間へやの装飾は、日本、支那、西洋と、とりあつめて、しかも破綻はたんのない、好みであった、室のすみには、時代の紫檀したんの四尺もあろうかと思われる高脚たかあしだいに、木蓮もくれん木瓜ぼけ椿つばき
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ちょうどおひろが高脚たかあしのおぜんを出して、一人で御飯を食べているところで、これでよく生命が続くと思うほど、一とめほどのお菜に茄子なすの漬物などで、しょんぼり食べていた。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼のまえにある高脚たかあしの菓子のうつわには、菓子はひとつもなくなって紙だけが残っていた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高脚たかあしぜんが八つ、それに載せた皿は皆きれいで、ほかにまた小さい膳が二つ、飾り脚のついた台に載せたお料理の皿など、見る目にも美しく並べられて、儀式のもちも供えられてある。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
其処には五分苅頭の色蒼ざめた乞食坊主が Preside して居る。其乞食坊主が手を挙げて相図をすると、一同前なる高脚たかあしの盃を挙げた。而して恐ろしい声を一斉にわッと揚げた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
たいそう結構な朱塗りの高脚たかあしのお膳が出て、立派なお座敷で御馳走をたべた。
紀伊国狐憑漆掻語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と、青年わかものは、老人が前にした高脚たかあしの机に、すがり寄って
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
淡墨の絵襖えぶすまに、高脚たかあし切燈台きりとうだいの灯が静かにまたたいて、黒い艶をもった柱、古色をおびた天井、つぶし貝が星のように光る砂壁など、いかさま千余年来の旧家と思われる落着きです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)